1600-1800年代の「女性と自由」について、あなたが知らないかもしれない10の事柄。

この記事は、ジャクリーン・ブロードとカレン・デトゥルフセン著『女性と自由、1600-1800』を基にしたオックスフォード大学出版社の記事の意訳です。簡易的で拙い意訳なので、間違いなどがありましたらコメントなどでご指摘いただけると幸いです。

https://blog.oup.com/2018/02/ten-things-women-liberty/?__prclt=lp7GBFdA



1600-1800年代の「女性と自由」について、あなたが知らないかもしれない10の事柄。


⒈ 女性は結婚を批判するために共和党の思想を利用した。

共和党の自由主義者たちは、他人の人生と幸福と財産を奪う権限は誰も持っていない、ゆえに誰しもが自由の権利を持っているとしていると主張した。18世紀の著作家であるサラ・シャポウン(1699-1764)やメアリ・ウルストンクラフト(1759-1797、娘は『フランケンシュタイン』の著者であるメアリー・シェリー)は、共和党のこの考えを利用して、夫がいかに妻の自由を奪っているかを論じ、妻の自由の欠如を訴えた。

⒉ 女性は結婚は奴隷制度であると主張した。

この期間の女性作家の中には、たとえ夫が親切で寛容であり、関係が良好であっても、妻は奴隷にされていると主張した者がいた。これは、他者が自分の人生に干渉する力を持っている状況において厳密な意味で自由とは言えない、という共和党の考えに基づいている。著作家メアリー・アステル(1666-1731)は、「もし男が全員自由人として生まれるのなら、女が全員奴隷として生まれるとはいかなることか」(If all Men are born free, how is it that all Women are born Slaves?)と問題提起をした。

⒊ 女性は、積極的自由と消極的自由の区分を予期していた。
1950年代にアイザイア・バーリンは、外部の干渉や制約からの自由(消極的自由)と、自己の意志を実現しうることや能力のあることの自由(積極的自由)を区別した。18世紀後半の著作家ソフィー・ド・グルーシー(1764-1822)は、この有名な二分に先んじて積極的な能力の権利と消極的な権利の区別を考えていた。
バンジャマン・コンスタンは古代の自由と現代の自由を区別する重要なエッセーを書いたが、ド・グルーシーはそれよりも20年以上前にその考えと共鳴するような手紙を書いている。

⒋ 女性は自由についての形而上学的な考えにインスピレーションを得た。

ガブリエル・スホン(1631-1703)とマリー・アステルは、共にデカルトの自由意志のアイデアを取り入れている。
デカルトの自由意志とは、人間は自分の意思によって、肯定あるいは否定、何かをしたりしなかったりする自由を持っており、いかなる状況においても自分が正しいと考えたことに従う自由を持っていることである。このようなデカルトの自由意志に彼女たちはインスピレーションを得たのだ。

⒌ 著作家たちは、女性のための高等教育を求めた。

フランシス・プラン・ド・ラ・バール(1647-1725)、マーガレット・キャヴェンディッシュ(1623-1673)、マリー・アステル、キャサリン・マコーリー(1731-1791)などの思想家は、女性はより高い追求のために高い教育を受けることができるようにすべきと主張した。

⒍ 夢想的な男性は、女性とのフェニミスト解放の道を旅した。
フランシス・プラン・ド・ラ・バールは、過去、現在、未来の男性フェニミストたちを賞賛した。

⒎ 女性は自律の概念に貢献した。
ガブリエル・スホンは、中立主義の人生を推し進めるべきであると考えた。なぜなら女性は、根源的に自由であるからだ。したがって社会制度によって制限を受けるのではなく、自然的正義に基づいた人間本性に従う自由を有している。このような彼女の思想は、カントよりも一世紀も前に自律の思想を構築している。

⒏ 歴史的な女性は現代の多くのフェミニストたちの思想を予見していた。
アステル、ウジェニー、メアリー・チャッドリー(1656-1710)は、結婚は男性の憂慮によって女性の利益が犠牲になる「自我の一体化」を促す卑劣な奴隷様式に親和的であると認識していた。このことは、現代のフェニミストによって今も批判されていることである。現代的な自律性のあり方である他者との関係を考慮した自律性の考えは、女性蔑視的な宗教の考えを否定し、女性の高等教育と女性同士の重要性を語ったアステルや、キャヴェンディッシュによる女性による共同体のアイデアと結びついている。

⒐ 何人かの女性は、形而上学、物理学、道徳を総合する哲学を構築し、体系的なヴィジョンを有していた。
アン・コンウェイ(1631-1679)の関心は、女性と男性の自由と神との関係を検討することにあった。キャサリン・コックバーン(1679–1749)の哲学的関心は、神の自由の本質と神学との関係に注がれた。エミリー・デュ・シャトレ (1706-1749)は、自然界の体系的な理論から女性の生活と自由について思考することに熱心だった。

10.  女性哲学者たちは、女性の哲学的能力に対する懐疑的な偏見に対抗するために、幅広いジャンルと方法を使用して哲学を考えた。
アステルのアイロニーの使用は、彼女が結婚に関する過激なアイデアを含ませることを可能にした。キャヴェンディッシュの演劇は、男性社会から離別した女性の破壊的なアイデアを有していた。そして、ウルストンクラフトの小説は、人間の自由が奪われた女性たちの悲しみの大きさを鮮やかに捉えた。

 

 

蜘蛛と箒

蜘蛛と箒(くもとほうき)は、 芸術・文化の批評、教育、製作などを行う研究組織です。

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