青山熊治《高原》(1926)における様式の折衷(2016)

青山熊治《高原》(1926)についての覚書。
《高原》の前景は、象徴主義的な雰囲気を持たせながら古典的な写実性(シャヴァンヌ的)を生かしているが、中景の二人の裸婦の部分からは、セザンヌ的画面になっている。二人の裸婦を中心にして、トリミングしてみると、セザンヌの影響がはっきりとわかる。
前景の背中を見せている女性が居なければ、中景のディフォルメや省略を含んだ表現、そして画面の中心を占める空虚な空間は、前景との分離を強めてしまっただろう。

裸婦の背中を描きながら、背面としてではなくこれが正面であるという説得力を持たせるというセザンヌ的な課題を、作者はちゃんと理解し挑戦しているだろう。



青山熊治《高原》(1926)



《高原》部分

ポール・セザンヌ 《大水浴図》(1894-1905頃)




ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ《諸芸術とミューズたちの集う聖なる森》1884-89年頃

蜘蛛と箒

蜘蛛と箒(くもとほうき)は、 芸術・文化の批評、教育、製作などを行う研究組織です。

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