【活動記録:2008】第3回「ASLSP/夜会議」(2008年5月25日)
※蜘蛛と箒の前身となるASPSLの活動記録です。
日時 5月25日(日) 18:30~
場所 国立(予定)
※開催場所については参加人数が決定次第、追ってご連絡いたします。
テーマ「解体と再構築」
たとえば制作する者にとって、自らの「主観」から制作をはじめることは、当然の前提であるかのように思われる。(これは美術の場合、より顕著だろう。たと えば建築の場合なら、おそらく、さまざまな外在的/社会的な要請、実際に地面に建ち、人が住めるかどうかといった機能など、その諸条件をクリアすることの 方が、まず目前にある課題であるだろうから。)
しかし、実際に制作しているそのさなかにおいては(特に発表を除外視した場合)、そもそも「主観/客観」という区別すらないのではないか。他人に「それは 主観的だよ」と言われてはじめて、自分のやっていることが他人にとっても通用するものであるかどうかが測れる場合の方が多い。
けれどもし、相対化の作業が、「他にも様々な主観、価値観がある」ということを確認することにすぎないのであれば、そんなものは制作にとって、たいした役 には立たないだろう。さまざまな事例を通して、わたしたちが検討したいのは逆に、いったい何を相対化しえないものと捉えているのかという点にある。
わたしたちは、ルールのわかっているゲームをしているのではなく、ルールを探し、つくり、自らに与えるというゲームをしている。「主観」とはむしろ、あら かじめ確保され保証された自由の領域ではなく、このゲームの過程であらわになる、ある種の不自由さ、限界である。限界の認識である。自分が本当に恐れてい ることに取り組み続けることは、そう容易なことではないとしても。
あなたの名前、あなたの顔、あなたの性別、あなたの職業、あなたの国籍、あなたの使用している言語、あなたの受けた教育、あなたの年齢、あなたの家族、あなたの友人。あなたがこれまで与えられ、そう見なされているところのすべての事柄。
これらの社会的諸関係すべてを取り除いても残るあなたなんて、どこにあるのだろうか。
今回のASLSPでは、美術とは違うジャンルから、芸術について、前回あがったテーマ「解体と再構築」について、討議します。参加者数名が簡単な発表をし、その後全員でディスカッションをする、というかたちをとりたいと思います。よろしくお願い致します。
【参考文献】
●オリバー・サックス
『妻を帽子とまちがえた男』(晶文社、単行本)
『火星の人類学者』(ハヤカワ文庫NF)
映画『レナードの朝』
主演:ロバート・デニーロ、ロビン・ウィリアムズ
監督:ペニー・マーシャル
※原作は(ハヤカワ文庫NF)
●ユクスキュル/クリサート
『生物からみた世界』(岩波文庫)
●グレッグ・イーガン
『祈りの海』(ハヤカワSF)
●R・D・レイン
『引き裂かれた自己』(みすず書房)
『経験の政治学』(みすず書房)