蜘蛛と箒企画オンライン特別講座|講師:池野 絢子 2021年8月28日(土)

蜘蛛と箒企画:オンライン特別講座|2021年8月28日(土)
20世紀初頭のイタリア芸術における複数の時間経験
講師:池野 絢子


この度、蜘蛛と箒では、 池野 絢子さん(西洋美術史)を講師にお招きしてオンライン特別講座を開催いたします。

【講座内容】
イタリア未来派が、過去の遺物の徹底的な破壊と、未来への欲求を高らかに謳うことで、20世紀の前衛芸術の先駆けとなったことはよく知られている。だが同じ頃、ジョルジョ・デ・キリコは、見慣れたものがまったく新しいものとして現出する、永遠に回帰する時間感覚を発見していた。この二つの傾向がやがてイタリアで交差し、第一次世界大戦前後の奇妙な状況を生み出す。たえず前進を続けようとする芸術と、繰り返し過去へと立ち戻ろうとする芸術が、一つの時代の表と裏のように、共存を始めるのである。

もっとも、この事実を強調することは、未来/過去、前衛/後衛という二つの対立した陣営のうちに個々の作家の多面的な実践を解消してしまう危険を伴う。美術史学の修正主義は、モダニズムの歴史観を相対化しようとするあまり、しばしばこの陥穽にとらわれてきたのではなかったか。しかし、たとえばウンベルト・ボッチョーニは、未来派の運動表象を刷新していくなかで、むしろ相互浸透する時間を見出していった。他方で、デ・キリコやカルロ・カッラらは「近代」、「原始」、「古典」の概念のさまざまな再解釈を提起している。これらの発想は、過去から未来へと進んでいく直線的な時間概念が失効しているという点では、同じ前提を共有している。すなわちそれは、単純に未来と過去とに分割してしまえない時間の問いに、それぞれの作家が独自の仕方で向き合い始めたことを示唆しているのではないだろうか。

本講義は、1910〜20年代のイタリアに生じたさまざまな芸術実践を、時間経験という観点から捉えなおす試みである。未来派の代表的芸術家であったボッチョーニ、未来派として出発しながら、最終的にそこから離れていったカッラ、「われ古典的画家なり」と自らを定義して憚らなかったデ・キリコ。これらの芸術家たちの実践を踏まえながら、彼らの複数の時間経験を浮き彫りにしてみたい。

参考ページ
「モダン・アートの「回帰」をめぐって」 ― 池野絢子
(※受講にあたって、事前に読んでおいていただく必要はありません。)

ウンベルト・ボッチョーニ《空間のなかで連続する個々の形態》1913年(1931年)
ブロンズ、112×40×90cm
20世紀美術館、ミラノ

カルロ・カッラ《ロトの娘たち》1919年
カンヴァスに油彩、110×80cm
トレント・ロヴェレート近現代美術館、ロヴェレート


【詳細情報】

講座タイトル:20世紀初頭のイタリア芸術における複数の時間経験
・講師:池野 絢子
・開催日時:2021年8月28日(土)
・開催時間:19:00-21:00(延長の場合は21:30)
・受講料:1,500円 (振込手数料別)
・使用アプリケーション:ZOOM
・定員:30名※事前予約制 

●お申し込み方法:お名前と連絡可能なメールアドレスを明記の上
aslspbank@gmail.comにメールでのお申し込みをお願いします。
支払い方法:銀行振込もしくはPayPalになります。
オンラインで使用するアプリケーション:Zoom
※自動返信メールではありませんので、ご返信が遅れる場合がございます。

【講師プロフィール】
池野 絢子|IKENO Ayako
1981年東京都生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了、博士(人間・環境学)。青山学院大学准教授。専門は西洋美術史、とくにイタリアの近現代美術。単著に『アルテ・ポーヴェラ――戦後イタリアにおける芸術・生・政治』(慶應義塾大学出版会、2016年)、分担執筆に岡田温司編『ジョルジョ・モランディの手紙』(みすず書房、2011年)、木俣元一・松井裕美編『古典主義再考Ⅱ 前衛美術と「古典」』(中央公論美術出版、2021年)など。

蜘蛛と箒

蜘蛛と箒(くもとほうき)は、 芸術・文化の批評、教育、製作などを行う研究組織です。

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