蜘蛛と箒企画|連続講座「日本美術(史)のマチズモとそのイメージ」 講師:吉良智子

〈日本美術(史)のマチズモとそのイメージ〉

募集定員に達しましたので、応募を締め切らせていただきます。
ありがとうございました。

講座概要

ここ数年、『説教したがる男たち』(レベッカ・ソルニット著、ハーン小路恭子訳、左右社、2018年、原著2015年)、『ひれふせ、女たち ミソジニーの論理』(ケイト・マン著、小川芳範訳、慶應義塾大学出版会、2019年、原著2018年)など、マンスプレイニングやミソジニーを取り上げた翻訳書が相次いで刊行されています。

こうしたいわゆるマチズモはジェンダーの力学として現実世界で力をふるうと同時に、表象という場においてよく示されます。なぜなら表象とは現実世界そのままの単純なあらわれというよりは、それを生み出す者(多くの場合権力者側)の欲望の写し鏡であるからです。

フェミニズム(ジェンダー)美術史は、大きく分けてふたつの方向性があります。ひとつは女性アーティストの掘り起こしと検証、もうひとつは男性アーティストが生み出した表象や男性研究者による語りの再検討です。私自身の研究としては主に前者に多くの時間をかけてきました。

ですがそれはともすると「女性アーティスト(研究者)の問題」としてとらえられる可能性が多分にあり、非対称な権力構造に関わるもう一方の性にとっては無関係な問題として残念ながらスルーされる結果を招くことがあります。一方後者はしばしば既存の権力からは敬遠されスムーズに進展しない場合があります。
そのような状況を踏まえたうえで、日本美術(史)のマチズモとそのイメージにかかわる主に近代を中心とした4本の論文を講読し議論をします。

※講座に先立って論文を読んでおく必要はありません。

 

各回概要

第1回 
村井則子「アメリカ文化史の観点から読む『茶の本』」(『ジャポニスム研究』26、2006年)を読みます。日本美術(史)の形成に関わった岡倉天心による著作『茶の本』が西洋から付与された女性性を払拭し男性性を主張する目的が込められていたことを論じた研究です。

第2回 
若桑みどり「帝国主義とヌード」(『イメージ&ジェンダー』9、2009年)を読みます。帝国主義的欲望が一見正反対に見える女性ヌードと戦争画に内在していることを指摘した論文です。

第3回 
金惠信『韓国近代美術研究―植民地期「朝鮮美術展覧会」に見る異文化支配と文化表象』を読みます。朝鮮総督府管理下に開催された「朝鮮美術展覧会」に入選した作品に関する本研究は、日本が西洋から付与された女性性の代替として他のアジア諸国を支配した力関係をジェンダーの視点から分析した研究です。

第4回 
池田忍「描かれた戦場の性暴力―いま、敗戦後の「戦争画」をどのように見るのか」(池田忍・小林緑編『ジェンダー史叢書4 視覚表象と音楽』(明石書店、2010年)を読みます。男性アーティストらが戦後に描いた戦時の性暴力のイメージを、彼らの置かれた社会制度や男性研究者の語りも視野にいれて考察した論文です。

それぞれの論文は、年代や取り上げる対象は異なりますが、近年注目されるトキシック・マスキュリニティなど今現在の視点から改めて読みなおし、現在進行形の問題としてとらえ返すことを目指します。

 

【講師プロフィール】
吉良智子:1974年生まれ。2010年千葉大学大学院修了(博士(文学))。日本学術振興会特別研究員-RPD。著書に『戦争と女性画家 もうひとつの「近代」美術』(ブリュッケ、2013年)、『女性画家たちの戦争』(平凡社新書、2015年)。『戦争と女性画家』において女性史青山なを賞受賞。(撮影:長島可純)

 

 

※本講座は原則4回連続で参加できる人を対象としていますが、1回から受講可能です。

開催日 第1回5月31日(日)、第2回6月21日(日)、第3回7月19日(日)、第4回8月2日(日)
開催時間 19:00-21:00(延長の場合は21:30)
受講費 ※新型コロナウィルス感染症対策として、原則すべて講座をオンラインで実施することになり、通常の受講料より割引価格になっております。
全4回受講(1講座120分×4回)7,200円
1~2回受講の場合は、1講座につき2,000円
3回以上受講より1講座1,800円
支払い方法 銀行振込 もしくは PayPalになります。
入会費 年間1,000円。受講のためには入会が必要となります。有効期間は20年度になります。
他の蜘蛛と箒のイベントで割引制度を設ける場合があります。
オンライン講座で使用するアプリケーション Zoomを使用します。
定員 15名程度
申し込みフォーム https://form.os7.biz/f/fc3d276b/
※自動返信メールではありませんので、返信が遅れる場合がございます。

講座に関する質問などは下記までお問い合わせください。
Email:aslspbank@gmail.com

 

蜘蛛と箒

蜘蛛と箒(くもとほうき)は、 芸術・文化の批評、教育、製作などを行う研究組織です。

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