蜘蛛と箒企画特別講座|金田実生/山本晶|描くことのあいだに


描くことは、ずっと変わらない普遍的な行為でもあり、生き物のように変化し続けているものでもある。

金田実生と山本晶は、二人とも瞬時に了解できる強いモチーフやイメージを掲げるのではなく、「描くことのあいだ」にある重層的で変動的なファクターに反応しながら、作品を作り続けてきた画家である。だから二人の作品は、謎に満ちていながらも、いつもみずみずしく新鮮な驚きを与えてくれる。
そんな二人が、お互いの制作について質問していきながら、「描くことのあいだ」にあるものについて語っていく。

そら言の人/118×99.3cm/木炭、紙/2013年
撮影:長塚秀人 ©Mio Kaneda, Courtesy of ANOMALY

春はあけぼの/194x260cm/油彩、キャンバス/2018年
撮影:野口浩史 ©Aki Yamamoto, Courtesy of ART FRONT GALLERY

 

【講座内容】
描くことは、書くことと一緒で、道具や行為が昔からそれほど変わらないシンプルなものだとしても、そこで紡ぎ出される言葉は絶えず変化している。現代的な文体や新しい言葉の感性が生まれるように、絵画の言語にも新しい感性が生まれ続けている。言葉は生き物だというけれど、絵画の言語も生き物である。だから絵画のなかにだって死語と呼べるようなものはある。それは想像力の死とも関係している。描く行為は、書く行為と同じでシンプルだからこそ、いろんなもののなかに入っていけるし、その行為自体は古くはならない。描くことのあいだにはいろんなことがつまっている。

また別の側面もある。美術史家ピエール・フランカステルは「人びとは無批判に、いつも毎日のジャーナリスティックな活動から借りてきた便利ななにがしかの意見を鵜呑みにしてしまっている。とりわけ、歴史的なものの見方を一切しないで、政治的もしくは宣伝的効果の高いある種の観念を普及しようと努めている。」と書いている。

インターネット上にあふれている広報的な言葉は、今ほど強い影響力を持ったことはないし、その拡散はとても速い。全体にあっという間に広まり、あっという間に過ぎ去っていく。現代は時代の変化が加速していると言われるけれど、変化の速度は、どこも一様なわけではない。時間の流れを川の流れに例えることがあるが、川は流れが速い場所もあればゆるやかな場所もある。水深が浅いところもあれば深いところもある。川幅が狭いところもあれば広いところもある。濁っているところもあれば澄んでいるところもある。

目の前にある自分の世界は、川の一体どこらへんに位置しているんだろう。変化していることは、社会の大きな活力になるが、言葉上の展開の速さに自分の現実が同じ速さで変わっていくとは限らない。広めることを目的にした言葉だけでは——それは素晴らしい新しさを運んではくるけれど——現実との乖離が強くなって、ひどい肉離れを起こしてしまう。制作とは変化をじっくり見つめるものだ。観察する対象の変化、作っている作品の変化、それに反応している自分の変化、そして社会の変化。描くことのあいだにはいろんなことがつまっている。

金田実生と山本晶はともに描くことのあいだにあるものをとても大切に考えて作品を作りつつけている画家である。描くことのあいだにつまっているものは、なかなか言葉にしにくいけれど、絵を描いている者同士なら言葉にできる場合がある。今も絵を描いている人たちは、たくさんいるけれど、そういう言葉を聞ける機会は決して多くはない。二人が、お互いの制作について、質問し、また質問に応えながら、描くこと、描き続けることのあいだにあるものについて語り合う。

【詳細情報】
開催日時:2021年4月24日(土)
19:00-21:00(延長の場合は21:30)
料金:1,500円 (振込手数料別)
定員:25名※事前予約制 
お申し込み方法:お名前と連絡可能なメールアドレスを明記の上
aslspbank@gmail.comにメールでのお申し込みをお願いします。
支払い方法:銀行振込もしくはPayPalになります。
オンラインで使用するアプリケーション:Zoom
※自動返信メールではありませんので、返信が遅れる場合がございます。

【出演者プロフィール】
金田実生
東京都に生まれる。1988年多摩美術大学大学院修了。2005年文化庁新進芸術家国内研修員。2001年「チバ・アート・ナウ ’01  絵画の領域」佐倉市立美術館、2002年第1回府中ビエンナーレ「ダブル・リアリティ—両義的な空間とイリュージョンの7人」府中市美術館、2003年「美術館ワンダーランド 自然のなかで」豊科近代美術館、2005年「夏の蜃気楼 −自然をうつしだす現代の作家たち−」群馬県立館林美術館、2009年「アーティスト・ファイル2009—現代の作家たち」国立新美術館、2014年「クインテット 五つ星の作家たち」損保ジャパン東郷青児美術館 、2018年公開制作73「金田実生 青空と月」府中市美術館、2019年「みつめるー見ることの不思議と向き合う作家たちー」群馬県立館林美術館などで作品発表。

山本晶
画家。東京生まれ。武蔵野美術大学大学院修了。主な展覧会 「VOCA」2002/2006年 上野の森美術館、「ART TODAY」 2004年 セゾン現代美術館、「DOMANI」 2008年 国立新美術館、「クインテット II」 2015年 東郷青児記念損保ジャパン日本興和美術館、2018/2020年 木曽ペインティングス、ほか。主な個展 ギャラリーαM, ギャラリエ・アンドウ, アート・フロント・ギャラリーなど。2005-06年文化庁新進芸術家海外留学制度にてニューヨーク滞在。近年は色をテーマにしたワークショップを行う 板橋区立美術館、目黒区美術館、東京大学大学院岡田猛研究室。

蜘蛛と箒

蜘蛛と箒(くもとほうき)は、 芸術・文化の批評、教育、製作などを行う研究組織です。

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする