蜘蛛と箒企画特別講座|講師:勝俣涼「マーク・マンダースの造形言語をめぐって」

蜘蛛と箒企画:オンライン特別講座|2021年5月9日(日)
「マーク・マンダースの造形言語をめぐって」
講師:勝俣涼


 【講座内容】
現在、東京都現代美術館で、オランダ生まれの作家マーク・マンダース(1968-)による国内美術館では初となる個展「マーク・マンダース——マーク・マンダースの不在」展が開催されている。

この講義では、そのマンダースの作品を紐解きながら、造形芸術が事物や身体、あるいは抽象概念——たとえば「時間」——といった様々なファクターをめぐって繰り広げる、アプローチの一例を見ていきたい。マンダースの作品群には、言ってみればある種の「法外さ」がつきまとう。人体のイメージであれば、手足が欠損していたり、巨大な頭部が遺物のように鎮座していたり、身体が家具類とのハイブリッドな結合を果たしていたりする。そこに、均整の取れた古典的なプロポーションは見られない。マンダースの作品空間における人間は、人体像の標準からすれば断片的、不完全、ないし過剰であるだろう。しかし、にもかかわらず、それらがどこか必然的な状態で凍結されているように見えるのはなぜだろうか?マンダース作品の経験は、現実の時間の流れから遊離している。このように感じる人は少なくないはずだ。

この感覚の由来を探るにはおそらく、マンダースが独自に展開する、制作の語彙の数々に目を向ける必要がある。有機的なものと無機的なものをときに大胆に、ときに慎ましく接触させること。事物や空間を身体として、日用品の配列を文字として「読む」こと。あるいはまた、サイズの縮小、形態の歪曲と圧縮といったプロセスの導入。こうした方法論から導かれるマンダース作品に発露する、特有の情動性について考えたい。必要に応じて、他の作家の作品にも言及する予定である。

なお、本展を訪れる機会があれば、講義の前でも後でも構わないので、ご覧になることをおすすめしたい。

(1)
マーク・マンダース —マーク・マンダースの不在 2021年3月20日(土・祝)- 6月20日(日)ウェブサイト
(2)
Mark Manders ウェブサイト

【詳細情報】
開催日時:2021年5月9日(日)

19:00-21:00(延長の場合は21:30)
料金:1,500円 (振込手数料別)
定員:25名※事前予約制 
お申し込み方法:お名前と連絡可能なメールアドレスを明記の上
aslspbank@gmail.comにメールでのお申し込みをお願いします。
支払い方法:銀行振込もしくはPayPalになります。
オンラインで使用するアプリケーション:Zoom
※自動返信メールではありませんので、返信が遅れる場合がございます。

 

【講師プロフィール】
勝俣涼|KATSUMATA Ryo
1990年生まれ。長野県出身。武蔵野美術大学大学院 造形研究科修士課程 芸術文化政策コース修了。美術批評・表象文化論。主なテキストに、「未来の喪失に抗って——ダン・グレアムとユートピア」(『美術手帖』第15回芸術評論募集佳作、2014)、「近さと遠さの文法——利部志穂「サンライズサーファー」展」(『美術手帖』2016年3月号、美術出版社)、「運動-刷新の芸術実践——エル・リシツキーとスターリニズム」(引込線/放射線パブリケーションズ『政治の展覧会:世界大戦と前衛芸術』EOS ART BOOKS、2020)、「「異世界もの」の「教室」——なろう系・キャラ・ゲーム」(武蔵野美術大学研究紀要編集委員会編『武蔵野美術大学研究紀要 第51号 2020年』武蔵野美術大学、2021)など。

蜘蛛と箒

蜘蛛と箒(くもとほうき)は、 芸術・文化の批評、教育、製作などを行う研究組織です。

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